教養とは

ほんね
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そもそも教養って何でしょうね

はくたく
はくたく

日本学術会議が2010年に、【21世紀の教養と教養教育

の提言をしておりますぞ。

ほんね
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整理したとか言ってますけど36ページもあるんですね…

ここから、自分が教養をどう捉えるか、の観点でまとめます!

教養の定義

一般的にいう、「教養」とは

国語辞典や漢和辞典によると「教養」とは:

「教養」という語は、1人間性や文化的な知識(豊かさ)・素養と品位を指し、
    一方で、その2人間性や文化的素養・品位を「教え養うこと=教育」を指す

・どちらかと言うと、1、人間性を含む意味で使われがち
・知的・文化的な高尚さやエリート性・高貴性を含んで使われがち
・「人としての生き方、世界との関わり方、市民としての社会への参加の仕方」
  ↑これらの根底に問われる倫理も含まれがち

ちなみに、外国語で「教養」を表すのは
英語・仏語=culture / 独語=Bildung / ギリシャ語=paideia / ラテン語=humanitas

ほんね
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むっずかしいですね。よし、自分は2つ目の「教え養うこと」を教養と定義します!!

はくたく
はくたく

うむうむ。まだまだ続きますぞ。

教養の区別

21世紀に期待される教養は複雑なため、

学問知技法知実践知、そして市民的教養 の4つに区別される。

21 世紀に期待される教養とは
  •  現代世界が経験している諸変化の特性を理解できる
  •  突きつけられている問題や課題について考え探究できる
  •  問題や課題の解明・解決に取り組んでいくことのできる知性・智恵・実践的能力
ほんね
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話がすごい重たいんですけど

学問知(本源的公共性)
学問・研究の成果であり、知の集合体。その学習を通じて形成される知。

→ 学問知があるのはこういう人
・ 錯綜する現実や説(研究を含む)に惑わされず、分析的・批判的に検討・考察ができる。
・ 同時に、社会課題を自分に関わる問題として捉え、自分の生き方や考え方を自省する。

実践知(市民的公共性)
実日常のさまざまな場面で実際に活用・発揮(実践)される知。
市民的・社会的・職業的活動に参加・協働し、共感・連帯するために必要な知。

→ 実践知があるのはこういう人
・ 自らの在り方・生き方・振る舞い方を自省し調整していく。

技法知(社会的公共性)
構成要素:
メディアの活用 / 多種多様な情報・資料の整理 / 数量的推論 / 日本語・外国語 /
表現能力・コミュニケーション能力(言語的と非言語的、両者を含む)/
学術的な文章作成能力(academic writing) など

→ 技法知があるのはこういう人
・ 学問知と実践知を学習して、自身の中で形成していくことができる。
・ 学問知と実践知を活用できる。

市民的教養
学問知、実践知、技法知の理解を深め、その実現に向けた様々な活動やプロジェクトに参加し、
連帯・協働していく素養と構え。

ほんね
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こんな4要素、身に着けたら完璧超人じゃないですか。無理ですよ

はくたく
はくたく

そう思いますかな。
しかしの、これらは現代の大学によって、豊かに育むべきもの、とされているのじゃ。

理想的な日本の大学教育デザイン

教養は、主に4つの要素を含み、現代の大学によって豊かに育むべきものだということがわかりました。

それでは、理想的な日本の大学教育デザインを確認します。

1. 教養教育は、4つの要素を含ませ、充実させるべし!

教養を形成する教養教育は、以下4つを含めて行われるものである。

①一般教育 ②専門教育 ③四年間の大学教育 ④大学院での教育

これらすべてが、総合的に充実を図っていくことが重要である。

2. 一般教育に、学生の専門分野は関係なし!

一般教育は、教養教育の中核である。
したがって、文系、理系、学生の専門分野には関係なく、すべての学生が共通に学修するべきである。
これを、「共通基礎教養」と言い、重要な位置づけを持つ。

「共通基礎教養」は、一定の広がりと総合性を持つもの である

ほんね
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ぱんきょーにそんな意識なかったと思うけどな

3. 学士課程は、一般教育 ⇔ 専門教育であると知るべし!

一般教育 = 教養教育であり…

一般教育は
専門教育の導入・基礎に向かうためのチケット である

専門教育とは
・ 学問的・職業的な専門知識の教授(伝達)を受けるもの。
・ 専門的な素養・能力の形成を「系統的に」行うもの。

更に…

専門教育は
教養教育の一翼を担う「専門教養教育」である ことも重要である

つまり : (一般教育 = 教養教育) ⊇ (専門教育=専門教養教育)

4. 「専門教養教育」は、門外漢にもわかりやすいものであるべし!

一般教育と専門教育が重なり合う「専門基礎教養」科目は、以下であることが重要である。

専門ではない学生でも積極的に取り組むことのできる内容構成

5. 専門教育には、3つの目標があると心得よ!

専門教育、特に学士課程における専門教育は、教育目標に三つの要件を備えていることが重要である。

① 自分の専門分野の内容を専門外の人にも分かるように説明できること 

② 自分の専門分野の社会的意義について考え理解すること

③ 自分の専門分野を相対的に考えられること
  専門分野の限界について理解すること)

6. 日本語+ α の言語教育を充実させるべし!

7. 卒業研究・論文は学士課程の教育・学習の総仕上げである!

8. 学外活動も積極的に参加するべし!

学生にとって、正規の授業以外のキャンパス内外も学びの宝庫である。

同期生、先輩・後輩、教職員その他との交流と数多の経験から教養は形成されると理解することも
重要である。

ほんね
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確かに、大学教育に学問知技法知実践知市民的教養
4要素は含まれてそうですね。モノにできるかは別として…

日本の義務教育の先の進学状況

2020年度の学校種類別の男女の進学率を見てみました。つまり、大学で理想的な教育を実施していると仮定するならば、それだけの人々が教養を身に着けているはずだからです。

参考 内閣府男女共同参画局

高等学校等(主に高校)への進学率
女子95.7%,男子95.3%

専修学校(専門課程)への進学率
女子27.3%,男子20.5%

大学(学部)と、短期大学を含めた進学率
女子58.6%,男子57.7%

大学(学部)卒業後、すぐに大学院へ進学する割合
女子5.6%,男子14.2%

ほんね
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大学院まで行きましたけど、周りの人も教養を身に着けた感じはなかったですよ
きっと、専門の暗記ばかりしていて、人間性や文化的素養・品位まで行きつけなったからですね

はくたく
はくたく

では、何を学べば人間性や文化的素養・品位が身に着けられるかを考えましょうかな。

文化的素養・品位が身に着けられる教養教育の具体例

教養教育の起源に立ち返り、何が文化的素養・品位につながるかを見ていきます。
具多的な近代の教養教育内容は、アメリカの大学を参考としました。

はくたく
はくたく

注意せねばならんのは、教養の理念も教養教育の見解も、その時々の時代状況や社会的課題を
反映して振り子のように揺れ、常に変遷している、ということじゃよ。

ほんね
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今回は、「自分にとっての教養」をつかむためなので、より具体的な部分を見ます!
復習! 一般教育 = 教養教育 でしたね!

教養教育(LE:Liberal Education)の起源

教養教育(LE:Liberal Education)はリベラルアーツ(liberal arts)に由来し、
その起源はヨーロッパ中世の自由7科にさかのぼるとされる。

ヨーロッパ中世の自由7科
3科:文法 ・ 修辞学 ・ 論理学
4科:算数 ・ 幾何 ・ 天文 ・ 音楽

→ 修辞学(rhetoric)とは
・ 自分の考えや主張を相手に効果的に伝えることによって、理解・納得を得るための技術・学問
・ 起源は古代ギリシャのρητορικήに由来。古代ギリシャでは修辞学(弁論術)を業として教える
  人達はソフィストと呼ばれた

教養教育(LE:Liberal Education)が中心的に担う目的:

  • 精神の解放(“to liberate the mind”)つまり自由な精神の形成
  • 「民主的な市民社会」の豊かな展開を実現する市民

参考 コロンビア大学の一般教育(GE:General Education)

1990年 コア・カリキュラム(CC)改革より:
現代文明(経済学・政治学・哲学・歴史学) / 文学(Literature Humanities) /
芸術(Art Humanities) / 音楽(Music Humanities) / 文化 / 科学 /
論理学・修辞学 / 外国語 / 体育

参考 ハーバード大学 一般教育(GE:General Education)

2009年より:
①審美的・解釈的能力 / ②文化と信念 / ③実証的・数学的思考 / ④倫理的思考判断 /
⑤生命科学 / ⑥自然科学 / ⑦世界の諸社会 / ⑧世界のなかのアメリカ合衆国

ほんね
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日本人が苦手そうな修辞学は根強いですね

はくたく
はくたく

紀元前5世紀のポリスからとはいえ、今も盛んといっても過言ではありませんぞ。
コミュニケーション学、Critical Thinkingが含まれます故。

結論:本ウェブサイトにおける「教養」とは

人間性や文化的素養・品位を「教え養うこと=教育」であり、そのために学ぶこと

21世紀に期待される 自身が求める教養とは
  •  現代世界が経験している諸変化の特性を理解できる 
          →  物事を本質的に理解したい
  •  突きつけられている問題や課題について考え探究できる 
          →  追い立てられず、余裕を持って学びたい
  •  問題や課題の解明・解決に取り組んでいくことのできる知性・智恵・実践的能力
          →  実践的とは、求めるものではなく結果である

個人的教養区別ランキング

1位 学問知
・ 錯綜する現実や説(研究を含む)に惑わされず、分析的・批判的に検討・考察ができる。
・ 同時に、社会課題を自分に関わる問題として捉え、自分の生き方や考え方を自省する。
        → 〇 そういうものに わたしはなりたい

2位 技法知
・ 自らの在り方・生き方・振る舞い方を自省し調整していく。
        →  自省に対して積極的である

3位 実践知
・ 学問知と(実践知)を学習して、自身の中で形成していくことができる。
・ 学問知と実践知を活用できる。
        →  学習に対して積極的である

4位 市民的教養
・ 学問知、実践知、技法知の理解を深め、その実現に向けた様々な活動やプロジェクト
  参加し、連帯・協働していく素養と構え。
        →  まずは自身が成長しなくてはならない

LiberalでGeneralな「教養」のカテゴリーはこちら!

ほんね
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徐々に項目を充実させていけたらいいですね

参考文献
日本の展望―学術からの提言 2010 21世紀の教養と教養教育, 日本学術会議 日本の展望委員会 知の創造分科会

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